生ドラムでの練習を長時間していると耳が疲れてくることはありませんか?
耳を保護するために耳栓を利用するドラマーも多いと思います。
耳栓を使うことでメリットもありますが当然デメリットもあります。今回は効率的な耳栓の使い方をご紹介致します。
耳栓を使うメリットとデメリット
耳栓のメリット
耳の保護
耳栓を使う一番の目的は耳の保護ですよね?メリットはそれしかないと言っても良いくらいです。
ドラムの爆音に対する、難聴対策、耳鳴り対策としては最良です。
人間の聴覚は少しずつ衰えていきます。現状では回復することはほとんど無いため、聴覚は加齢と共に衰えていくのみです。
耳栓をすることで聴覚の低下防止につながりますので長くドラムを楽しむためには重要なことです。
大音量は聴覚低下の元
この聴覚の低下に影響を与えるのが、大きな音です。
ずっと静かな場所で暮らしていれば、かなり歳を取っても聴覚はあまり衰えないことが分かっています。
つまり、この聴覚の低下は加齢によるものと言うよりも、どれだけ大きな音にさらされてきたかが大きなポイントになるということです。
生ドラムの音は100デシベルを余裕で超えて、音圧を最大レベルまで上げた時には120~130デシベルにも達すると言われています。
130デシベルは耳に損傷を与える危険性があると言われている音量。これは飛行機のエンジン音よりもうるさいのです。
ドラマーは最もドラムに近い位置にいるため、耳へのダメージが大きいのは間違いないですよね。
耳栓によってこの耳のダメージを減らして、保護出来ることは大きなメリットになります。
耳栓のデメリット
生音では無くなる
耳栓のデメリットは何かというと、それは聴ける音が完全な生音では無くなることです。ドラムは非常に繊細な楽器であり、倍音が複雑に重なり合って音を奏でるし共振もしています。
例えば、タムを叩いた時には共振によってスネアや他のタムからも音が出ています。耳栓をしていると倍音やこのような共振はカットされてしまいサスティーンも減ります。
となると、本来は出ているはずの音が聴こえていない訳だから、ドラムプレイがかなり大雑把なものになる懸念があるということです。
これは曲と合わさると顕著になります。バンド演奏時は周りの音も色々と複雑に共振して耳に届いていますが、耳栓をすることで本来聴こえるはずの音がカットされてしまうのです。
耳栓をするとドラム演奏は確実にやりやすくなるのですが、繊細なプレイは難しくなると考えて下さい。
耳で生音を聴く重要性
人は聴覚を失うといずれ話すことも出来なくなってしまうそうです。
人間は内耳で自分の話す言葉を聴いて、毎回、正しい発音が出来ているのかを学習して修正をしています。
聴覚が無くなるとこの学習が出来なくなり、正しく発音しているかが分からなくなってしまい、その内言葉が話せなくなるということです。
それくらい耳で聴くという行為は重要なことだということでしょう。
耳栓をすると、耳栓のフィルターによって本来の正しい音が耳に伝わっていない状態になっています。
そのため、常に耳栓をつけて練習をしていると耳栓を付けた上での理想の音を求めるようになってしまいます。
本来のあるべき生音での理想の音とのズレが出てしまい、ドラムの演奏に大きな影響が出てしまう可能性があります。
耳栓の効率的な使い方
耳栓は一切使わない方がドラム上達のために良いのは間違いないと私は思っています。
しかし、長く音楽を楽しみたいのならば、耳を保護してやることも重要だと考えています。
そこで、私は耳栓をつける時間とつけない時間を分けるようにしてバランスを取るようにしています。
耳栓の使い分け
例えば、スタジオでの練習時間を5時間取ったとしましょう。5時間まるまる生ドラムで練習していたら、耳が疲れてしまいますよね。
その練習中は良いとしても、終わった後に耳鳴りに悩まされることも珍しくないでしょう。これが毎日のように続けば、早い段階で聴覚に問題が出るかもしれません。
そこで耳栓を使ったり使わなかったりの使い分けをします。
付けるジャンルを限定する
ジャンルによってドラムの音量は大きく変わります。ロックやメタルなど、激しい音楽はドラムの音量も大きいし全体の音量も大きいですよね。
こういうジャンルでは積極的に耳栓を付けるようにしています。逆にジャズになると繊細なプレイを求められるし全体の音量も小さめなことが多いです。
こういう場合に耳栓を付けるとドラムプレイに大きな支障が出るので耳栓は付けない方が良いと私は感じています。(そもそも音量が小さいので付けるメリットが少ない。)
私は全体の音量の大きさで耳栓を付けるか付けないかの大きな判断材料にしています。
困るのはポップスやR&Bですね。音量が結構大きいこともありますし、繊細なプレイを求められることもあります。表現を重視ということで、ポップス系のアンサンブル時は基本的には耳栓は付けないようにしています。
付けたり外したりする
個人練習の際には耳栓を付けたり外したりすることも有効です。
生音で練習する時間と耳栓をつけて練習する時間を分けるという方法です。
始めは生音で練習して、生音のドラムの感覚をつかむようにします。時間的には30分くらいでも良いです。
その後、その感覚を覚えたまま、耳栓をつけて練習します。そして、暫くしたらまた耳栓を外して生音で練習をする。
これを繰り返すことで、生音の時の音⇒耳栓した時の音の変換がスムーズに行われて、耳栓をしていても生音での理想の音色をある程度出せるようになってきます。
片方だけ付ける
付けたり外したりと似た方法ですが、耳栓を片耳にだけつけて片耳を保護する、という方法もあります。
この方法を使う場合、私は右耳につけるようにしています。右耳は左脳につながっていて、左耳は右脳につながっていると言われているからです。
演奏するなら右脳派に憧れる!という単純な理由で基本的に左耳を開放しているという訳です。
しかし、毎回ずっとこの方法を使っていては左耳ばかりに負担をかけることになっちゃいますよね?
そこで下記のようにローテーションを組みます。
「両耳に耳栓する」
「右耳にだけ付ける」
「たまに左耳に付ける」
「耳栓は完全に外す」
これらを色々と使い分けていきます。重要なことは耳栓を付けた状態での理想のドラム音を定着させずに、必ず生音を直に聴いた状態での理想のドラム音を追求することです。
オーディエンス全員が耳栓を付けてライブに来るのならば耳栓での理想の音を求める必要があるのかもしれませんが、現状では生音での理想の音を求めることが重要だと考えています。
普段の生活で耳栓をする
ドラム演奏時には確実に耳にダメージを受けています。これはどうやっても避けようがありません。
だったら、ドラム演奏以外の時に耳を大切にしてやろう、という発想ですね。
外出時は騒音が凄い
外出したら実は意外な程に騒音にさらされています。
電車の音や人混みでの喧騒など、知らない内に耳はダメージを受けているのです。
この時に耳栓を付けて耳を休ませてやろうという魂胆です。
耳栓を付けていてもある程度の音はしっかり聴こえるので、注意していれば危ないということはありません。
イヤフォンで大音量で音楽を聴いているほうが耳にも悪いし、車の音に気づかないなど危険も多いので注意しましょう。
色々な耳栓をレビュー
耳栓には色々な種類のものがあり、私は今までドラム練習時に様々な耳栓を使ってきました。
ここでは【100均の耳栓】、【ドラッグストアにあった少し良い耳栓】、【ドラマー専用のイヤーマフ】、【ドラマー専用の耳栓】の4つの使用感をお伝えします。
100均の耳栓
耳栓は100均でも売っています。しかし、品質は決して良いとは言えないのです。
まず、反発力が凄すぎる!!耳栓を摘んでも、すぐに元の形に戻ってしまうため、なかなか耳にフィットしないのですよね。
遮音性能も高くない割には、サスティーンなどの大事な音はカットしてしまいドラムの演奏には大きな弊害になると私は感じます。
100均の耳栓は一度使ったきりで、その後出番がくることは無かったですね。ドラムの練習には一切お勧め出来ない耳栓といえます。
少し良い耳栓
Moldex(モルデックス)やサイレンシアのような少し高価な良い耳栓もあります。
アマゾンでも買えますし薬局でも買えます。だいたい500円~1000円程度のものが多いかな。
複数入っているので1ペアあたりはもっと安いですね。これらの耳栓は一般的な耳栓として遮音目的で使用する分には申し分ないと思います。
耳栓を摘んだら、暫くはその形を維持してくれますので耳にフィットもさせやすく、遮音性能も100均のものとは比べ物にならないです。
ただし、ドラムの自然な鳴りやサスティーンも完全に遮断してしまうため、ドラム演奏時には違和感は非常に強く感じます。
耳の保護には問題ないのですが、ドラム演奏を重視するならばお勧めは出来ない耳栓です。
ドラマー用イヤーマフ(VIC FIRTH DB22)
こちらのイヤーマフはドラマー専用のものです。【ビックファースのDB22】はヘッドフォンのように頭にセットするタイプのものです。
DB22なので22デシベル減衰かと思いきや25デシベル音を減衰してくれるみたいですね。
ドラマー専用となっているものの、イヤーマフの老舗PELTOR製であり、特別にミュージシャン用に開発されたイヤーマフでは無いのが残念なところ。
シンバルなどの高音域をばっさりカットして中低音は程よく残る印象。全体的に音が聴きやすくなるのですが、生音とは音のバランスはかなり違うと感じます。
イヤーマフの中を覗いてみると、かなり簡素な作りになっているのが分かる。
つまり、やっぱり作りとしては普通のイヤーマフと同じ構造であり、遮音性能は高いがドラムの演奏にはかなりの支障が出てしまう可能性があると言えます。
VIC FIRTH DB22はイヤフォンとの併用がお勧め
このイヤーマフは、イヤフォンに合わせてドラムを叩く時の遮音には最適だと思います。
簡易的なレコーディングなどでイヤフォンで音源を聴きながらドラムを叩くケースって結構ありますよね?
YOUTUBEの叩いてみたなどもこの方法で録音することは多いでしょう。
問題となるのは、叩いているドラムの音が大きすぎてイヤフォンの音をかなり大きくしないと音源が聴こえない時があることです。
こんな時に、このDB22をしながらイヤフォンをすれば、かなり音量を下げても音源の音を聴くことが出来るので大変助かります。
イヤフォンのコードは大抵細いのでイヤーマフに潜り込ませれば遮音性能も問題ないですし、総合的に耳への負担がかなり減らせるのでお勧めです。
CRESCENDO (クレシェンド)Drummer【後継機Fcking Loud】 イヤープロテクター(耳栓)
今まで色々な耳栓を紹介しましたが、最終的に私はクレシェンドの耳栓に落ち着きました。
クレシェンドはミュージシャン専用の耳栓を多数開発しています。
現在はDrummerシリーズは販売終了になっているようなのですが、Fcking Loudという後継機が販売しています。
遮音性能はDrummerシリーズと同じなので使用感は後継機も変わらないと思われます。
サスティーンが程よく残る
この耳栓の一番良いところはシンバルのサスティーンなども程よく残してくれている点ですね。
出来るだけ生音をそのままに音を減退するようにしてくれていると感じます。
耳栓の中心に遮音用のチップが入っていて、どうもこのチップがキモらしいです。
この白い物体が遮音用のパーツとなっています。これは1ペアずつしか入っていないので、必ず別の大きさのイヤーピース(写真の黒い耳栓本体)をつける場合にはチップも付け替えよう。
さすがにミュージシャン専用の耳栓というだけあってよく研究されていると感じます。
フィット感が凄い
こちらの耳栓はゴム製なので洗えるのですが、耳へのフィット感が異常に良いのです。
通常の耳栓はスポンジなので洗うと反発が強くなって使い物にならなくなってしまいます。なので、スポンジ製の耳栓は基本的に使い捨てです。
こちらはゴム製なので繰り返し何度でも使える上に、すぐに自分の耳にフィットするようになっています。
これは正直、何度も耳栓を付けたり取ったりを繰り返す自分にとってはありがたいですね。
クレシェンドの耳栓はサイズが大小の2種類あって、自分の耳にフィットする方を選べばOKです。
そうとう耳の穴が小さいとかでは無い限りはどちらかの耳栓はフィットすると思われます。
先程も言いましたが、遮音用のチップは1ペアしか入っていないので、耳栓自体を変えるならチップは付け替える必要があるので注意です。
キーチェーンに付けられる
これは個人的にはありがたい配慮です。私は結構適当なのでモノを良く無くしてしまいます。
スネアケースに入れてあるミュート用のジェルやシンバルフェルトなどは何度も無くしております。
さすがにハイハットクラッチは無くしたことはないのですが、細々したものは無くしやすいですね。
耳栓も小さいため本来ならば無くす懸念が高いものでした。使い終わった後にポケットに入れがちになりますんで。
しかしこの耳栓はケースをキーチェーンに付けることが出来るため管理がとても楽で無くすこともなく大変助かっています。
クレシェンドの耳栓の総評
耳栓に5000円は高いと思うかもしれないですが、自分の演奏のレベルアップと耳の保護を考えたら安い投資だと私は考えています。
スポンジ製の耳栓と違って繰り返し何度でも使えるし、意外とコストパフォーマンスは良いかなと。片方でも無くしてしまったらお終いなので、そこは注意したいところ。
もしもこの耳栓がダメになってしまったり紛失したりしたら、確実に後継機のFcking Loudを買わせてもらいます。
お勧めの耳栓まとめ
我々ドラマーはミュージシャンの中で最も大音量の中で演奏しています。
ジャズならば問題ないかもしれませんがロックドラマーは確実に大音量に悩まされているはず。
完全に趣味でやっていて月に1度スタジオに入る程度なら問題ないと思いますが、毎日のようにスタジオで練習している人は真剣に耳の保護を考えるべきです。
耳栓は耳を保護するためには非常に有効なものなので、ぜひ活用して欲しいと思っています。
100均の安い耳栓ではなく、必ずミュージシャン専用の耳栓を使うことをお勧めします。
特にお勧めなのが今回紹介したCRESCENDO (クレシェンド)のFcking Loud(Drummerシリーズの後継機)です。
フィット感も良く、音も自然に減退するのが素晴らしい。ただし、色々な耳栓を今まで試した中では良いということであり、やはり生音との違いは大きいと感じます。
全く一緒という訳にはいきません。そのため、ずっと耳栓を付けての練習はお勧めしません。
必ず生音での音も確認して、理想の生音と耳栓をつけた時の音の差を確認して、逐一修正してやることが重要だと思います。
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